Kellogg - 自分の価値観を伝えるエッセイ

このエッセイでは、困難な状況に対する出願者の考えやアクションを具体的に説明し、自身の価値観やリーダーシップスタイルをアピールしています。状況のサマり方も上手です。

第一パラグラフ:状況説明

training

米軍に従事した後、インターネットサービスプロバイダーのテクニカルサポート部で勤務が始まった。 その2か月後、私はスーパーバイザーに昇進した。ある日、上司が来て、私がマネージャー研修に選ばれたと告げた。この研修はマネジメントとリーダーシップの基礎を叩き込む6日間の研修で、昇進する上で必須である。会社はこの研修の為に特別の施設を用意しており、泊まり込みで行われる。この連絡に私は喜び、この研修に参加することにした。研修の終了後には8人の部下を指揮するチームリーダーに昇進する予定であった。同時に、この研修は私が持つテクノロジーの知識と米軍で培ったリーダーシップスキルを融合させる絶好の機会でもあった。そして、昇進すれば給与が20%増え、その昇給分でかねてから望んでいたヨーロッパ旅行も実現する。ヨーロッパ旅行は、私が米軍に従事していた頃からの夢であった。

第二パラグラフ:主人公の困難な状況と具体的アクション

surgery

私は、研修が始まる2週間前になって、2年間付き合っている恋人が手術をしなければならないことを知った。そして、偶然にも手術日が研修と重なった。この手術は術後の回復に激しい痛みを伴う。彼女の家族が看病することは知っていたが、私も彼女に付き添うべきだと強く感じた。一方、このマネージャー研修は私のキャリア上は極めて重要で、ずっとこの機会を待っていた。このジレンマを解決するため、私は意思決定をする前にいくつかのステップを踏んだ。最初に彼女の手術日が変更できないか確認した。その後、上司に状況を説明した。上司は、次のマネージャー研修は来年になると言った。上司は、特例で研修を受けずに昇進できるか確認してくれたが、それは無理だった。上司は、会社は多大な労力と費用を投じて、この研修を企画しており、君が研修に参加することを大いに期待している、と言った。親しい友人や家族にも相談した。彼らは皆、私が研修に参加すべきだと言った。私はこのジレンマと一週間格闘した後、決断を下した。

第三パラグラフ:主人公の判断とその結果

私は事情によりマネージャー研修には参加できないことを上司に告げた。そして、手術とその後の2週間、彼女に寄り添った。幸い手術は成功し、私が寄り添うことで、彼女は安心でき、術後の苦痛からも少しは解放されたに違いない。上司は私の判断に理解を示してくれ、来年の研修に参加できるように全面的に協力することを約束してくれた。軍隊でも、昇進のトレーニングに参加しなかったこともあり、昇進を断るのは初めてではなかった。それらの判断に後悔はなく、今でも自信と誇りをもっている。私は自己の利益よりも愛する人のニーズをいつも優先してきた。結局のところ、それが本当の意味で「人をサポートする」ということなのだ。

BTエッセイの開設

日本のタブー

今回、このエッセイを取り上げた理由の一つは、日本のキャリア観ではタブーとも考えられるトピックスを扱っているからです。

  • 「研修への参加」と「恋人の手術に付き添う」という二つの選択肢で迷っていること。日本は仕事中心の考えが強く、この選択肢で迷うこと自体が論外と考える人もいると思います。
  • 出願者は、昇進のチャンスを捨て、恋人の手術に付き添いますが、この判断自体も日本社会では評価されないかもしれません。ましてやMBAエッセイに書くとアドミッションに仕事へのコミットメントが低い出願者とマイナスの評価を気にされる方もいるのではないでしょうか。

アメリカ社会は個人主義でプライベートと仕事は明確に分ける、また、プライベートも仕事と同じくらい重要と考える人も多く、このような内容のエッセイでも受け入れてくれます。

  • 出願者は、「軍隊で養ったリーダーシップ」を持っています。これはその一言で十分で、わざわざ細かく説明する必要がないでしょう。例えば、「銀行で養った財務分析力」や「地域No1になった営業力」等もそれだけで十分にその人の能力を伝えることができます。それ以外の内容に字数を割きましょう。
  • 主人公は周囲のアドバイスを聞き入れず、自分の価値観を信じて判断をしています。一方、そこに頑固さも感じてしまい、それはマイナスです。他のエッセイで自信の柔軟性もアピールしつつ、コアな価値観は絶対譲れないという人間性を表現しているのではと推測します。
  • MBAエッセイでは、レジュメでは伝えられない事を書きましょうと言われます。このエッセイは良い例かと思います。出願者のマネージャーへの昇進はレジュメに書きますが、その背景まではレジュメに書きません。また、出願者の昇進のタイミングが遅かったとしても、このエッセイでは昇進が遅れた理由を説明しており、出願者のウィークポイントを補強しています。

関連情報

サンプルエッセイ

書き方のヒント

Admission/在校生対談

原文

https://www.aringo.com/Kellogg-MBA-Essay-Examples/

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